いまアメリカでは労働組合が社会的・政治的にも盛り上がっています。現地参加をした様子と熱気を伝えます!
女性ユニオン東京の機関誌『ファイト!』VOL318(2024/5/25号)へ寄稿された記事を転載します。
目次
シカゴ滞在
休暇の初日、偶然にもシカゴに滞在することになり、レイバーノーツ大会の最終日に参加することができた。
大会は4月19日から21日まで4日間開催され、ワークショップ、映画上映、交流会などなど様々な企画が盛り込まれている。昨年の全米自動車労働組合の歴史的な勝利の影響を受け、これまでで最高の4700名が参加した。
LABOR NOTESとは?
月刊誌として1979年創刊。現在はウェブサイトが中心の媒体となっています。隔年で会議を組織し、働く者たちが労働組合を作り、米国の労働運動を強めていくよう教育や地域での交流など様々な活動を行っています。
翻訳されたオススメの本
『職場を変える秘密のレシピ47』出版 日本労働弁護団
参加したワークショップの紹介。
1 新しいメンバーを増やすには(90分)
「待っていても組合に入りたい人が列をなしてやってくることはない。こちらから働きかけて仲間に引き込むんだ。」と、オーガナイザーのNickBedellさん。参加者がテーブルごとに話し合いながら、意見を発表する形式だったので、色々な経験を聞くことができて興味深かった。
話し合いのまとめ:【会話を通して共通点を探し、仲間に引き込む。多くの会話を通して、その人が必要としていることを突き止め、一緒に実現していく。そのための計画、道筋は大事。ユニオンは○○ができる。そのためにあなたに△△をやってほしい。あなたの目標は私たちの目標だという、共同意識が大切。】
2 一人からどうやって仲間を増やすか(105分)
UPS宅配トラックドライバー組合、通信業者組合、市郡職員組合の支部の若手メンバーがパネリストとなり、それぞれの経験を話し、参加者から質問を受ける形だった。
看護士の参加者から「組合員が200名以上いるのに、集会や活動に参加するのは数名だ。SNSをいろいろ始めたのに若い組合員の関心が低い」という質問があった。これに対しパネリストからは、組合員のコミュニケーションを図るうえで、若い世代でもグループチャット50%、直接の会話50%とのことだった。ほかの参加者の意見を聞いて、私は労働組合の意義、なぜ私たちがここにいるのかをよく話し合うことが、メンバーの活動参加につながるということだろうと思った。
物価高が続く中、米国では各地で労働組合がストライキを打ち、賃上げや雇用契約の延長など様々な好条件を勝ち取っている。閉会式の前日にもテネシー州のフォルクスワーゲン工場で賛成票2/3で労組結成が決まり、その報告を聞いた会場の声援と自信に満ちた笑顔は忘れられない。会場にいた参加者は、労働組合とともに現状をより良い方向に変えていけるという確信と誇りに満ちていた。その姿がまぶしく、うらやましくも感じた。
アメリカでの労働組合は?
米国で労働組合をつくるためには、会社が自主的に結成を承認しない限り、従業員の3割以上から署名を集めて全国労働関係委員会(NLRB)に提出し、まず投票の実施を申請します。実施が認められると、NLRB管理のもとで従業員投票を行ない、投票者の過半数の賛成を得なければなりません。
2022年ニューヨークのアマゾン倉庫で労働組合結成の投票が行われ、賛成多数で可決されるなど、パートタイムや有期労働者など様々な労働条件の労働者の組織化が進められている。2名以上集まれば労働組合が作れる日本とは仕組みが少し違います。