シネマ「女性の休日」 東京大学多様性包摂共創センター上映会へ出かけた
- 女性ユニオン東京 ブログ

- 2025年12月18日
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女性ユニオン東京の機関誌『ファイト!』へ寄稿された松順さんからのミニレポートを転載します。

「女は船長にはなれないの?」「パイロットには?」「私は裁判官になりたい!」「なぜ女はクリスマスに山ほどのクッキーを焼いて、子どもたちの服を徹夜して新調しなければならないの?」「どうして?男の靴を磨き、家で子育てをすることを良しとするの?」沢山のなぜ?どうして?女の役割を決めているのは何?そんな疑問が大きなうねりとなって国全体に広がり、とうとう国中の女性の9割が日常のあらゆる仕事を放りだし、休日(ストライキ)を取った1975年10月24日。「女性の休日」は、女性たちの柔らかな革命のアーカイブ映像と愉快な証言で織りなされるアイスランドのドキュメンタリー映画だ。
アイスランドは16年連続ジェンダー平等先進国第1位。そして現在でも「世界で一番男女平等な国」を突き進んでいる。(因みに日本は118位、G7では最下位)
ヨーロッパの一番北の国からアジアの一番東の国への情報伝達は、今世紀をまたいでもまだ遠く、私たちはアイスランドの事をよく知らない。この映画の上映会にアイスランド大使館から大使とレイキャビック元市長の男性が挨拶に訪れた。グナール元市長は1967年産まれ、5人の子どもを持つ父親だ。「もちろん、育児は夫婦二人でおこなっています。」家庭の仕事をするのは当たり前の社会、「女性の休日」以降ちゃんと築かれている。グナールさんの妻は1975年当時まだ10代であったが、この「休日」に参加したという。自分たちの親の世代が変えた意識だが「アイスランドはジェンダーギャップ指数世界1位ですが、まだまだ道半ば、男性の意識改革には男女間の対話が必要」と話す。「アイスランドは昔からジェンダー意識が高かった国ではない。むしろマッチョなほうで、男の憧れは“バイキング”で、男性民話が根づいている。男はバイキングであれ!と育てられた。」1975年の女性の休日から5年後、初めての女性大統領が誕生し、いくつかの女性の政党も出来た。2000年には男性の育児休暇が義務付けられ、2010年には取締役会の男女構成割合はそれぞれ40%のジェンダークオーター制が法制化された。与党3党の党首は女性、警視庁トップも女性が務めている。法案もジェンダーチェックが入り常にブラッシュアップしている。メディアもジェンダー研究を欠かさない。
「日本はジェンダーギャップが低いが、意識は高い人が多い。今日ここにいる人々が希望だ、草の根運動が大切」「カルチャー、価値のマインドセット。女性も男性も両方が行動をすること」と、なんだかきれいにまとめられて解散となったが、私にはいまいち日本の現状と1975年アイスランド女性たちの連帯の輪が重なり合わない、スマホもパソコンもない時代になぜあれほどの同じ価値観を短期間で広く共有することができたのか?何か共通する思想があったのではないか?
しかし、どこの何を調べればいいのかわからず、結局ウィキペディア先生を頼ってみると、
「アイスランドは世界で最も労働組合の加入率が高く……」の一文が目にとまった。やっぱり!あの休日(ストライキ)がまたたく間に広がったのにはきちんとした下地があったわけだ!いくらちいさな国で人口が少ないとはいえ組織化されている下地は大きい。現在でも国民の9割が職場の労働組合に加盟している。ちなみにアイスランドの歌姫ビヨークの父も労働組合のリーダーだそうだ。そしてもう一つ心を動かされた一文に「アイスランドは軽装備の沿岸警備隊のみで常備軍を持たない」という記述。ここにも軍隊を持たない国がある。ということ、これも希望じゃない?!
なんで「草の根運動」に言い換えたのかな?「労働組合が……」では日本では伝わらないから?「日本にも女性の総理大臣が誕生した。大きな一歩だ!」って、右派の自民党の女性だよ、今のアイスランドの女性首相は社会民主同盟の元党首だよ、一緒にしてしまっていいの?
真実が隠されたまま読みかけのミステリー小説を閉じるような……スッキリしない気持ちが残った上映会でもあった。




