女性ユニオン東京30周年記念ネットラジオの文字起こしです。立ち上げ当初を知るメンバーがその頃体験したことや想いを語りました。この話は、YouTubeやSpotifyでも詳しくお聞きいただけます。
'(1)では、女性ユニオン東京が誕生した1995年の時代背景と設立メンバーの熱い想い、(2)では「できることから」と始めたが、その後の熱気が語られました。
日本で労働組合に加入している労働者の割合は2023年6月末時点で16%台の過去最低水準、女性に限ると12%台になり、多くの人の仕事環境では労働組合が縁遠い状況が続いています。また逆に、労働組合に巨大で敷居が高いイメージがある方も多いかもしれません。そこであえてこの女性ユニオン東京の歴史と設立の背景と実際のところを紐解いていきます。
結成大会
結成大会には、準備段階の10倍の人数が!翌日にあの痛ましい事件
葉山夏子
谷さんとねこくまさんに来てもらいました。
先ほど「女性ユニオン東京立ち上げ」という記事「これから立ち上げるぞ」っていう記事新聞記事に出た途端、もう本当に鳴りやまない電話、みんなが「こういうの待ってた!」っていうところで、女性ユニオン東京が始まったっていう話を聞いたんですけども。
大会結成大会が始まる前に活動が始まっちゃったってことですよね?団体交渉とか。それで結成大会の日を迎えたことになりますか?
谷
そういうこと(10人程度でできることから準備をしている段階で大手新聞2誌の社会面で取り上げられたこと)で、その後取材もどんどん増えてったんですね。それとあわせてだから、結成大会日(1995年3月19日)、大会の前に記者会見をするっていうことも含めて急遽設定したりして、当日、テレビカメラも随分入ったんですね。
会場は今もうなくなっちゃった「神田パンセ」っていう水道橋にある貸会貸ホール。貸会議会館みたいなの。結構色々労働関係・市民運動なんかでも使ってた場所があったんで、そこの部屋を最初は「ぼちぼちの規模で」借りたんけど、50名くらいかな。
で、それをどんどん部屋を変えてこう追加していくっていうようなことがあって、当日100人超えてたと思います。
葉山夏子・ねこくま
うお!ああ!(すごい!)
谷
テレビも入ったんで、翌日19日が日曜日ちょうど日曜日だったんですけど、翌日20日あはとっても大変!
多分「問い合わせ電話がまた来るだろう」と思って、私も休みを確保してたんですね。そしたら20日があのサリンの撒かれたっていう日なんです。
※地下鉄サリン事件=宗教カルトのオウム真理教によるテロ。毒ガスであるサリン作って東京の地下鉄車両内で撒いた。結果として10人以上が亡くなった。
葉山夏子
ああ……。
ねこくま
確か、ちょうどその頃ですね。
谷
そう。なのでこの前後っていうのをすごく覚えてるっていうのは、そういうこともあったんですね。
ボランティア元年の感覚、粒餡になろう
谷
それから「私たちはみんなで、ボランティアで運営していこう!」って。さっきもちょっと言ったように(「できることから」と)話し合ってきたんだけど、それは、この年って1月に関西の大地震、(阪神淡路大)震災があった。それでボランティアっていうのが注目された。
葉山夏子
そうですね。「ボランティア元年」と言われた時ですね。
谷
(ボランティアの機運が高まっている時期に)ちょうどフィットしたっていうのが、みんなの感覚も含めてあったのかなと。
当日は記念講演として中野弁護士が来てくださった。
葉山夏子
うんうんうんうん
谷
で、すごくね覚えてるのは「みんな粒餡なんだ」。こし餡みんな練られてみんな一緒になっちゃうけど、粒餡ていうのは1つ1つの個性があって全体でおいしいと。「粒餡のようなユニオンになってください!」っていうのすごく覚えてます。
葉山夏子
なんかすごくいい例えですね。
ねこくま
粒餡理論。
谷
私はたくさん人が来てすごかった!っていうよりも、やっぱりそういう女性たちがいろんな思いを表すっていう「行動しよう」っていう、その思いっていうのにすごく感動した。
今もだから、絶対にちょっとしんどくても、絶対にそれは、私たちがまだそこと接触、繋がってないだけで、(女性たちは)いろんな想いを持ってるっていう。それを形に表すことを、もっともっとみんなでやっていきたいなと思いますけど。
その原点をすごく強烈にもらったなって思うんです。
1年でメンバーは200人に!男女雇用機会均等法施行10年で見直しの時期。セクハラが盛り込まれた。
葉山夏子
うん。そうすると、立ち上げた時の組合員は何人ぐらいだったんですか?
谷
えーっとね、100人200人ぐらい。1年間で200人ぐらいになったんじゃないかなあ。
葉山夏子
えー、すごいね。
でも、本当にやっぱ、時代背景と共に、やっぱりその(男女雇用機会)均等法10年経っても、やっぱり全然職場では均等じゃないっていう。
※男女雇用機会均等法=1985年施行。この時点では募集・採用の差別が努力義務。1997年改正で努力義務を禁止とし、セクハラ防止も義務化。(資料 男女雇用機会均等法の変遷)
谷
全然全然!
葉山夏子
私も、なんとなく覚えてるけどまだ働き始めたばっかりだたけど、なんか全然…
谷
95年がちょうど均等法の見直しの時期。「10年後見直す」っていう風になって、改定の議論が始まり出したのね。うん。だから、そこにもまああの、どっちかっていうと団体交渉なんかの取り組みが忙しくて、なかなか参加できないこともあったけれども、均等法の改定にあたって現場の声届けようっていうこともあったけど、もう一方でね、セクハラがようやく盛り込まれたんです。そう。なかったセクハラは。扱かわれてなかった。
葉山夏子
うんそなるほどうん。
ねこくま
でもあれですよね。セクハラって、でもあの本当に、ごく最近だとあのようやく自衛隊の女性隊員に対するセクハラも、ようやく謝罪が来た!っていうので、本当、私としてはセクハラっていう問題が、ようやく解決に舵をきったの、ここ4~5年ぐらいの感じがしたので、30年ってなると、あの、実際に盛り込まれて30年前ってなると、相当まだ女性の労働環境っていうはまだ弱い。弱いんだなって思いました。
日経連が「新時代の日本的経営」「雇用の多様化」とどんどん有期雇用=非正規化がすすんだ。
谷
それとね。
95年っていうのは、女性だけじゃなくて働く者全体に大きい影響をもたらしてるんだけど、その頃の財界というか、企業の労務管理をする団体、日経連っていうところが「新時代の日本的経営」っていうものを出したんですね。
それで「今後、日本は正社員っていうのはごく一部の基幹部分だけでいい」と。で、色々な専門的なスキルは専門職で、いわば、それに必要な期間の有期契約でいいと。あとは周辺的な労働っていう大きく3つの層にピラミッドに分けて、そういう風に「今まで正社員がメインだったのを作り替えるんだ」っていう「それが今後の日本経営が生き延びる道だ」っていうことを打ち出したのね。
そっから「雇用の多様化」っていうので、どんどんどんどん……。女性が95年の頃は正社員の中高年から若い女性に置き換えだったのが、切られる正社員の女性がどんどん年齢は下がってって、どんどん有期雇用に、非正規にされていったっていうのが、ものすごく進行して。それを押し止めることはできなかったっていうのがとっても悔しい想い。
葉山夏子
当時、ちょうどバブルが弾けた後で、急に経済が悪くなって、男性中堅社員の「リストラ」っていうことで、どんどん首切りみたいのが起きて。雇用の今の非正規雇用に置き換えるって話も含め、日本型の経営のちょうど転換点でしたよね。
「人件費を節約」。1番かかってる人件費を「費用」として見てっていうところで、すごくこう職場もギスギスし出したし、な~んかこう大きな転換機だったと思います。
4へ続く>
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