女性ユニオン東京30周年記念ネットラジオの文字起こしです。立ち上げ当初を知るメンバーがその頃体験したことや想いを語りました。この話は、YouTubeやSpotifyでも詳しくお聞きいただけます。
日本で労働組合に加入している労働者の割合は、2023年には過去最低水準の16%台となっています。ますます労働組合が縁遠い仕事環境が増え、逆に、労働組合に巨大で敷居が高いイメージがある方も多いかもしれません。歴史と設立の背景と実際のところを紐解いていきます。
労働組合設立の熱い決意と時代の背景と女性たちの声
登場メンバーの自己紹介
葉山夏子
女性ユニオン東京の立ち上げの頃について。古い組合員の谷さんに来ていただいてちょっと話をお聞きしたいと思います。
私は組合員になって20年ぐらい。入ったのは西暦2004年だったと思います。
次にご紹介するのは谷さん。簡単に自己紹介お願いします。
谷
女性ユニオン東京の谷と言います。1995年に立ち上げた女性ユニオン東京ですけれども、準備からずっと関わって作ろうっていうことでやって来た者です。はい。その頃のお話をっていうことで今日は参加しました。
葉山夏子
はい。ありがとうございます。もう1人、若い組合員の方に来てもらっています。自己紹介お願いします。
ねこくま
ねこくまです。よろしくお願いします。組合員歴は5年ぐらいです。(ユニオン)設立当時は保育園生でした!
谷
ははは、そう言われると、リアルだね。
葉山夏子
年月を感じますね。1995年ですね。女性ユニオン東京が立ち上がったのは。
谷
うん95年の3月19日です。
葉山夏子
ですよね。私その頃、働き始めて間もなかったんですけど、新聞に「女性ユニオン東京。女性の組合が労働組合ができた」って記事があって、切り取った記憶があるんですね。その頃は「1人で入れる労働組合」っていう認識もなくて。それを読んで「ああ1人で入れるんだ」と思って。「じゃあなんか困ったらここに行けばいいんだ」と思ってこの新聞を切りとったことを覚えています。
バブル崩壊後の厳しい経済状況と、女性労働者の置かれた状況
葉山夏子
準備期間はどうだったんですか、谷さん?
谷
あのね。その頃は、私は全国一般(全国一般東京労働組)っていう(ところの組合員だった)……「一般」っていうのは「誰でも入れる」っていう「一般的」っていう意味で言ってるんだけれども。だから、そこももちろん「1人で入れる労働組合」だったんですね。
で、ちょうどバブルが弾けて、まずパートの女性たちから首切りに合ってたりしていたんだけれども。
葉山夏子
うんうん。
谷
あの94年に働く女性のための弁護団っていうのができたんですね。なぜかって言うと女子学生の就職氷河期がすごく大変で、社会問題になってたんです。女子学生のためのホットラインやったり、女子学生が「あの就職、何だ!(だめだ!)」っていうデモをしたりっていうことがあったんですね。
入る時が厳しいっていうのは、逆に(企業の)中で働いている女性自体もすごくトラブルにあってしまうと。現場から追い出される。
主にね、その頃はまだ、今みたいに雇用形態が色々じゃなかったから、正社員の女性が切られるっていう。まず、パートの女性が切られて、そのあと正社員の女性、しかも中高年の女性たちが切られたり。
あの、その頃を示す言葉と言えば「おばん転がし」っていうのがあったんですよ。
葉山夏子
うん。ひどい言葉ですね。
谷
女性たちを色々嫌な部署に配転(配置転換)を繰り返して、自分から辞めるように仕向けていくっていうことなのね。
葉山夏子
ひどい!
谷
そうです。
葉山夏子
当時働いてた40代~50代の働く女性たちってことですかね。
その90年代半ばに職場にいた50代の人達がそういう目に……。
あちこちで増える 男女雇用機会均等法第一世代の女性たち からの労働相談、しかし、労働組合は男性中心
谷
うんうん。
もう1つはね、あのあれです。あの(男女雇用機会)均等法の一期世代。均等法ができて、ちょうど10年なわけね。ええ。85年にできたから。
職場の中で色々、30代で人生のいろんな節目になるようなステージ。例えば、結婚するだとか、出産するだとかというので、女性のライフステージで言うと色々な問題にぶつかり始めてる。というようなこともあって、労働組合だけじゃなくて、その頃労政事務所とかいろんなところでとにかく女性の相談がすごく増えてきたんですね。
それをどうしたらいいか?っていうことで、例えば全国一般って言っても、結構自由な組合だったんだけれども。女性も3人、役員で入ってたし「女性会」っていうのもあったんだけど、組合の相談対応をするのは専従の「オルグ」と言われる男性どもがやるわけね。
葉山夏子
うん。やっぱり男性が多かった?
谷
男性主導です。やっぱり、だから「主導に風穴開けよう」っていうんで、女性が3人役員に入ったり、女性交流会を始めたりしたけど、実際の相談や職場での問題解決っていう具体的な取り組みはやっぱりほとんど男性によって行われるっていうことがあったわけ。
セクハラ・パワハラなど、女性たちが職場で抱える悩みや不安を女性で受けたい
谷
それからもう1つは、「働く女性の弁護団」で(電話の)ホットラインを何回かやって、それは学生だけじゃなくて、さっき言ったような職場で色々トラブル、理不尽な思いしてる女性が増えてきてるんで。そこのホットラインなんかもやってたんだけど、そういうのお手伝いに行ってたの。
「働く女性の弁護団のホットライン」って言うから弁護士が全部電話を取るわけ。そこのデータ整理・いろんな資料整理とお手伝いはとっても面白かったんだけども、聞いていると、はがゆいわけです。
弁護士は法的なアドバイスはできるけど、誰もが「裁判しよう!」って思ってるわけじゃないわけですよね。
「職場でこんな悔しい思いした」とか「突然『あっち行け』とか言われた」だとか、「給料がダウンさせられた」とかね。そういうのに対して弁護士は「これは違法です」とか言うことは言えても「じゃあどうしよう」ってこと言えないわけね。「じゃあ、あの、どっか労働組合探して」ないしは「紹介するからそっち行ってみたら」ってなるわけですよ。
だから、労働組合としてそういう相談を受ければ「じゃ、すぐいらっしゃい」と「一緒にどうしたらいいか考えよう」っていうので、実際には団体交渉を会社に申し入れるとか、取り組めるわけ。だから、弁護団のホットラインもいいけど、直でそういう相談を女性たちが受けて女性たち自身の手で解決していくっていうことをやらないと!というか、やりたい!と思ったってのはすごい強いです。
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