労働組合として差別と暴力・ハラスメント根絶に向かうための宣言
- 女性ユニオン東京 ブログ
- 3 日前
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労働組合として
差別と暴力・ハラスメント根絶に向かうための宣言
2025年8月
私たち女性ユニオン東京は、職場で女性というだけで被る暴力や不利益と対峙し、理不尽な思いを抱えている女性たちとともに人間としての尊厳を求めて声をあげてきました。
国際社会は、女性に対する暴力を「女性に身体的、性的、精神的な危害または苦痛をもたらす、またはもたらす可能性のあるジェンダーに基づく暴力行為」と定義し、「そのような行為の脅威、強制、または私生活で発生するかどうかにかかわらず、自由の剥奪が含まれる」としています。物理的な暴力にとどまらず、精神的な圧力や支配も含まれることを指摘しているのです。そして、ハラスメントやマイクロアグレッション(些細な侮辱)によって、女性は行動を制約され、焦燥感からしなくてもよい努力を強いられ、心身共に疲弊させられて、生活と健康を損ないます。
暴力・ハラスメントを根絶するためには、社会のあらゆる分野に構造化された女性差別を問わなくてはなりません。性暴力に関して「同意があったかどうか」をこれまでのような男性中心の基準で解釈し、「権利侵害とはいえない」というのでは、暴力・ハラスメントを根絶するどころか、女性の生活と労働に不利益を与え、賃金等待遇の格差を生み、雇用を奪い、女性差別を増幅させます。
女性に対する暴力・ハラスメントはなにも企業に限ったことではありません。例外なく労働組合のなかでも、女性組合員や労働組合で働いている女性職員は困難な状況に置かれています。企業に対して、本来、暴力・ハラスメントを含め労働環境の改善を要求する立場にある労働組合が、閉鎖的な組織のなかで被害者女性を攻撃・排除するなど第2の加害者になり下がっている現状をどうにか変えるべく、あらゆる暴力を許さないことは労働組合として共通認識にできるはずと、私たちは努力を重ねてきました。
全労連は、この間ハラスメント根絶に向けての国際水準に立った「ジェンダー平等宣言」や「あらゆるハラスメント根絶宣言」を公表しています。これらの宣言は、性差別と暴力・ハラスメントの根絶に総力を挙げて取り組むために、必要不可欠な認識と観点を実質的に加盟組織に周知徹底してジェンダー平等を確立しようとするナショナルセンターとしての強い姿勢と受けとめています。
しかし、今般、加盟組織でさえ、その内容を実質的に取組もうとしない極めて残念な事態を目の当たりにさせられました。全労連の宣言を踏まえて組織内ハラスメント対策を効果的に機能させる規定の整備と周知を合意しましたが、それを反故にされました。出されたものは、厚生労働省が公開している「ハラスメント防止規定」のコピーでした。これでは、労働組合には団体自治があるとはいえ、企業・職場におけるジェンダー平等の推進を目指す労働組合本来の役割を果たせるとは到底思えません。
ジェンダーに基づく暴力は、被害者の人権をふみにじり、心身に多大なダメージを与えます。まずは声をあげる被害者の心身のケア、安全・安心できる措置、雇用の確保、そして加害事実を認めて被害者に対する謝罪、性暴力を防止する対策の作成と実施が必要です。被害者が更なる不利益を被るのではなく、健康を取り戻し、ふみにじられた尊厳の回復を求めて取り組むことは、労働組合本来の使命であり、あるべき姿です。職場で、社会で分断が進む今日、一人ひとりの被害者によりそい、要求を練り上げ、取り組むことが労働組合に求められています。
私たちが生きている世界は、残念ながら差別と暴力であふれかえっています。市民社会の構成員である私たち一人ひとりが目の前で起こっている惨たらしい暴力を止めるために行動しようではありませんか。“集い”は弱いものが持てる最大の力です。肩を組まなくてもいい、同じ先を向いて歩くのはどうでしょう。女性ユニオン東京は、労働組合本来の役割を発揮し、性差別と暴力の根絶のため、総力をあげて行動することをここに宣言します。
都労委令和5年不第66号(東京公務公共一般事件)の東京都労働委員会取下げにあたって
女性ユニオン東京
執行委員長 井出 志保
