女性ユニオン東京の機関誌『ファイト!』VOL321(2024/9/28号)へ寄稿された記事を転載します。
こんなはずじゃなかった、介護保険 私たちのケア社会をつくる 8時間ぶっ通し介護保険マラソンシンポジウム 参加レポート
敬老の日の9月16日、「ケア社会をつくる会」主催の、標記タイトルのシンポジウムがオンラインで開催された。
第I部制度編、第II部実践編、第III部ケア社会をつくる(こんな制度が欲しい)展望編、の3部に分かれて構成されており、8時間の長時間でも引き込まれるほど、私にとって、私たちの社会にとってこれからの介護はどうなるのか、目を背けることができない課題をつきつけられたシンポジウムだった。
24年前介護保険制度ができたときは、それまで介護は「嫁が」、「妻が」、「娘が」仕事を辞めてすることが当然だったので、社会化された介護保険制度が信じられない思いをしたことを今でもよく覚えている。私の周囲でもヘルパーやケアマネになった女性たちも多かった。
その後の介護保険制度は改悪に次ぐ改悪で、「国家的詐欺」や「苛め抜かれた介護保険」と言われるほど、がけっぷちに来ているという。現場では、4月からは訪問介護報酬が引き下げられたため、訪問介護事業所は以前にも増して経営が成り立たず、そしてヘルパーの低賃金や高齢化による労働力不足もあり、毎日のように事業所閉鎖が続いている。
介護事業所は効率化が求められ、都市に集中する施設を持つ大手の介護事業所だけは黒字になっている一方で、地方の町村では事業所が一つもないところも増えている。
高齢者人口は増加するにもかかわらず、これでは介護保険制度は絵に描いた餅になってしまう。だれもが直面する介護の問題は、介護内容のこと、財源のこと、労働力のことなど、考えていくことが必要である。
このシンポジウムに登場する介護現場での仕事に携わる人々が、利用者の尊厳が守られ、その人らしい自立した日常が最後まで送れるようにと、寄り添いながら介護をしていることに力をもらった。